■独立されたばかりですが、この先の夢はありますか?
はい。はじめからこの1店舗で終わるつもりはありません。
あと3店舗出すのが夢です。
■そうですか。次の店の構想はすでにあるのでしょうか?
いえ、それはまだありません。
資金や人など、店を出せる条件が揃ったときに、出会った物件に合うものを考えます。
例えば仮に「絶対銀座に店を出す」という願望があって、細かいことまで決めてしまったとします。すると、もし銀座ではないチャンスが訪れたときに、うまく乗れない気がするのです。
飲食店というのは、店を構える場所によって合う料理などが全然違います。自分が作りたいと思う料理を前面に出しても、場所と合ってなければ意味がありません。場所というのはつまり人ですから、お客様を相手に商売をする以上、当たり前と言えば当たり前です。
そうした融通性をいつでも持っているためにも、あまり決め込みすぎないように心がけています。
■それでは、これから独立を目指す方にメッセージをお願いします。
独立はあくまでも「通過点」だと捉えてください。
独立そのものが目的になってしまうと、独立した時点で力尽きてしまいます。
これまでにベアーズコーポレーションから独立した5人は全員そうだと思いますし、個人店を開いている経営者の方々もみなさんそうだと思います。店を持つことそのものが目的という人は多分ひとりもいないと思います。
その店を通して自分が何をしたいのか、という、その先のことが大切です。
将来の目標があって、そのための独立でしたら大きな意味があります。
ベアーズコーポレーションの独立制度は、そのステップとして、とても良い取り組みだと思います。
インタビュー後記
「話すのは苦手」と言いがら、実に明解なビジョンを語ってくださった鈴木さん。板前という道を一筋に歩んできたからこそ、より大きな視点でものを見ることができるのかも知れません。